湖国 の 醗酵
フェア
2021年11月10日(水)~11月23日(火)
at MUSMUS (新丸ビル7F)
湖国に残る、暮らしと醗酵
滋賀県には地域に根ざした独自の食文化があります。
郷土料理である鮒鮓は千年以上の歴史がある発酵食品です。平安時代中期に制定された延喜式には「本熟れ」と言われる、熟れ鮓を使ったと記録が残ります。
滋賀県には例大祭「近江のケンケト祭り・長刀振りの鮒ずし切りの神事」として、鮒鮓を触ることなく真魚箸と包丁を使い鮒鮓を切り分け、神饌として神に献上します。
近年、醗酵食には「免疫力を高める」健康食品として脚光を浴び、味噌、醤油、酒、お漬け物など地域により独自の食文化を育んできました。毎日慌ただしく暮らしている中、時にはゆっくりじんわり時間を醸す醗酵に導かれ、いつの日か湖国滋賀へお越しください。
『醗酵食はハレの日のおもてなしであり、
ケの日常を支えるもの~琵琶湖の漁師を訪ねて~』
(インタビュー記事)
インタビュアー①:
・幸永幹真
(滋賀県立大学大学院 環境科学研究科 環境計画学専攻)
2021年3月より沖島に移住。大学研究室のプロジェクト代表として、空き家の研究調査や島の休憩所の建設に携わる。
インタビュアー②:
・ 新崎真緒(立命館大学 食マネジメント学部 )
徹底した現場主義。日本料理修行中。全国の一次産業や離島へ出向き、地域ならではの食について学ぶ
( 写真:幸永幹真)
(写真:新崎真緒)
(写真:奥村繁さん)
(写真:沖島)
淡水湖(琵琶湖)としては世界的にも珍しい有人島である沖島をたずね
沖島の漁業組合長である奥村繁さんにお話を伺った。(奥村さんは1947年生)
沖島の歴史は古く、延喜式内社として記されている奥津島神社の建立当時は、琵琶湖の航行の安全を守る神の島として崇拝される無人島だったといいます。伝承によれば、保元・平治の乱に敗れた清和源氏の流れを汲む武者七名が島を開拓し、定住したのが島の始まりと伝えられています。琵琶湖の漁師は、半農X半漁が多いが、沖島は昔から専業漁師の島であった。
昭和30年(1955年)頃の総漁獲高は1万t/年を超えていたが、今や800t/年となっている。当時750人いた島民も現在は230人を割り込むに至った。
昭和39年(1964年)に東京オリンピック開催。その前の昭和30年代に入ると、オリンピック開幕に向けテレビや“三種の神器”といわれた電気冷蔵庫・電気洗濯機も普及していった。(大阪万博も1970年開幕)洗濯機の普及にともない、リン酸が含まれる合成洗剤が洗濯石鹸として使用されたことによる赤潮発生などの琵琶湖の水質悪化が問題となった。
(時の皇太子が1960年頃にブルーギルを食用にと琵琶湖に放流したと言われている)
この時期を境に外来魚をねらうカワウも増加しカワウのふん被害や水質なども含む自然環境悪化、外来魚の増加により、餌となった琵琶湖の固有魚が急激に減少していった。
滋賀県の独自の醗酵食である湖魚を使った熟れ鮓。お漬物を漬けるように各家庭にて漬けていた。熟れ鮓といえば現在ではニゴロ鮒を使った鮒鮓が一般的ではあるが、ニゴロ鮒の漁は高価な漁具が必要な刺し網漁で行うため、高級魚であった。昔はゲンゴロウフナ、カマツカやワタカなど、地元の人が日常的に食べている湖魚を鮒鮓よりも短い醗酵期間で漬けていた。滋賀県の他の地域によって、漬けていた魚は様々であった。
お漬物は重しが覚えるとも言われ、なるべく重い重石を使ってお漬物、熟れ鮓を漬ける。お漬物だけではなく、山に薪や芝刈りに行く重労働は女性の仕事であった。平均寿命が短かったのは、それだけ体を酷使した暮らしぶりだったからとも言われている。
美味しく漬かればお裾分けをする文化があった。沖島では、お味噌は麹を通常の倍の量を使う倍麹味噌を今でも作っている。
近年乳酸発酵食品は体に良いものと見直されているが、お漬物でも簡単なお漬物風が増えているが、若い子には時間をかけて作る本物を大事にしてもらいたいと願っている。最近の若者は、現場に入り込み学ぼう、残そうとしてくれている。その姿が嬉しい。
鮒ずしとは、春に獲れたニゴロ鮒を3か月塩漬けし、夏の暑い盛りの頃水洗いして魚を磨き上げ干す。干した鮒に炊いて冷ましたごはん(飯)と塩を入れて漬け込みます。重石をして自然に乳酸発酵するのを待ちます。翌年1月以降に出来上がる。骨も頭も醗酵により柔らかくすべて食べられるようになります。薄くスライスして食します。
取材を行った学生は昔の自然環境に戻す生活のあり方を探りたい。そしてここでの生活体験や歴史的背景も興味を持ち、体験したうえで広めていくことが自分の役割だと思う。
醗酵から話が始まり、歴史や環境問題にまではなしが広がり学び多き時間となりました。
ぜひ醗酵食や伝統食だけではなく、歴史的背景も引き継いでいきたい。
今の自分の選択が誰かの暮らしに影響を与えることを意識して、これからの未来を
選択していかねばならない。と感想を述べていた。
湖国の醗酵フェアは終了いたしました。
非常に多くの方にお越しいただき誠にありがとうございました。
引き続き醗酵食品の魅力と湖国滋賀の魅力に是非触れてください。
〈湖国の醗酵フェア 交流イベントの様子〉
https://tugumi.net/2021/11/19/shiga-fermentation-3/
主催者:株式会社Re-birth(就活room tugumi)
〒520-2134 滋賀県大津市瀬田2-2-3 TEL:077-548-8422 FAX:077-548-8423
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